2024年6月20日
「じゃがいも本来のおいしさを届けたい」との想いから、創業当時より日本産じゃがいもにこだわり続けている湖池屋。近年は、全国各地のブランド芋を使ったポテトチップスを期間限定で販売しています。
それぞれの収穫時期に合わせて製造しているため、食べられるのは年に一度だけ!毎年6月は、静岡・浜松の最高級じゃがいも「三方原馬鈴薯(みかたはらばれいしょ)」で作るポテトチップスが登場します。
ところで、ポテトチップスになる前の「三方原馬鈴薯」はどんな味わいなのでしょうか?
収穫期を迎えた5月中旬、畑にお邪魔し、穫れたてのじゃがいもを少し分けていただきました。生産者さんおすすめの食べ方とともにお伝えします。
品種は「男爵」でも見た目が違う!白さ際立つ「三方原馬鈴薯」
三方原台地の特徴である赤土の酸性土壌と、豊富な日照量のもとで育てられる「三方原馬鈴薯」は、白くきめ細かな表皮が魅力のひとつ。畑を取材した際にも、堀ったばかりでも洗ったような白さに驚きました。
ちなみに「三方原馬鈴薯」はブランド名で、栽培する品種は「男爵」が9割、「メークイン」が1割。湖池屋では男爵のみを使用し、ポテトチップスに仕上げています。
土を軽くふき取って並べると、輝くような白さが実感できます。一般的にイメージする「男爵」よりもゴツゴツとした感じが少なく、ツルリとなめらかな印象です。
横に並べたのは、北海道産の「男爵」です。同じ品種ですが見た目がかなり違いますね!北海道は火山灰でできた土壌が多いため、濃い色合いの表皮になると言われています。
果肉は淡いクリーム色。カットするとみずみずしさが感じられます。皮も薄くてやわらかいので、ちょっとこすっただけでもむけてしまうほど繊細。農家の方が丁寧にコンテナに詰めていたのも納得です。
「三方原馬鈴薯」を食べてみよう!
では、実際に「三方原馬鈴薯」を食べてみましょう!生産者の酒井さんにおいしい食べ方をお聞きしたところ、「電子レンジで加熱し、シンプルに塩を付けたり、ハーブ塩やマヨネーズを付けたりして食べてみてください。三方原馬鈴薯の持ち味が一番実感できる食べ方だと思います」とのこと。
蒸したじゃがいもにはついバターをのせて食べたくなりますが、じゃがバターではバターの風味が強く出てしまい、素材としてのおいしさが薄く感じられてしまうそう。
水で濡らした三方原馬鈴薯をラップに包み、電子レンジでやわらかくなるまで加熱します。目安は150g~170g程度で500w3~4分。つまようじなどで刺してみて、スッと通ったらOKです。
熱さに気を付けながらラップを外し、包丁で4等分にカット。塩、ハーブ塩、マヨネーズを用意して、いただきます!
ホクホクとしたじゃがいもらしい食感や、やさしい甘みがありながらも、しっとりなめらか。舌触りがとてもよく、みずみずしさを感じます。
「三方原馬鈴薯」は収穫前にでんぷんの含有量を機械で検査しているそう。ブランドとして設けている基準は「男爵」が12.5%、「メークイン」で12.0%以上。
この豊富なでんぷん質が、ホクホク感と甘みの秘密です。何もつけずにそのまま食べても十分おいしいですが、塩をパラッと振ると甘みがいっそう際立ちます。
ハーブ塩とマヨネーズは、上にのせて食べても、じゃがいもを軽くほぐして和えても。ポテトサラダのようなおいしさが手軽に楽しめます。
電子レンジではなく、せいろでも蒸してみました。
サイズが150g以上と大きかったこともあり、蒸し時間は13分ほど。蒸し上がりは皮がめくれてしまうので、早く食べたい時、キレイに仕上げたい時は電子レンジが良いかもしれません。
また、生産者の酒井さんはより手軽なシリコンスチーマーの使用をおすすめしていました。
でんぷんの多い「三方原馬鈴薯」でポテトチップスを手作りしたら
最後に、「三方原馬鈴薯」で手作りポテトチップスに挑戦してみました。
でんぷんを多く含むじゃがいもでは、揚げる時に焦げてしまうことが多いそう。一般的な作り方で試してみますが、果たしてうまく作れるでしょうか?
三方原馬鈴薯を薄くスライスし、水に浸けます。
水気をふき取り、温めた油で数分揚げます。
工程はとてもシンプルです。出来上がりはこちら!
なかなかキレイに揚げられず、焦げてしまったものがチラホラ……。食べてみるとやや苦い仕上がりでした。油の温度を下げたり、揚げ時間を短くしたりなど変えてみましたが、今度は火がうまく通りません。改めて、ポテトチップスづくりの難しさを感じました。
ポテトチップス製造に長年携わってきた湖池屋だからこそのノウハウが詰まった「三方原ポテトチップス」。今年は6月20日より発売予定です。最高級の三方原馬鈴薯の魅力を最大限に引き出したおいしさを、ぜひ堪能してくださいね!
取材・文/田窪 綾 撮影/山下コウ太 田窪 綾