湖池屋の夏限定「三方原ポテトチップス」のふるさと、浜松へ!じゃがいも畑を取材してきた

三方原ポテトチップスで使用している静岡県産の三方原馬鈴薯(みかたはらばれいしょ)

年に一度しか味わえない、湖池屋の特別なポテトチップス「三方原ポテトチップス」。
毎年SNSでは「本当においしい」「秒でひと袋食べ終わってしまった」と大好評!原料の「三方原馬鈴薯(みかたはらばれいしょ)」は、日本を代表する最高クラスのじゃがいもなんです。今回はポテトチップスになる前の三方原馬鈴薯を調査!実際に収穫するじゃがいも畑から、見た目や味などの特徴まで詳しくご紹介します。

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静岡・浜松の特産品!赤土の三方原台地で育つ「三方原馬鈴薯」

静岡県浜松市内にある三方ヶ原の戦いの石碑
静岡県浜松市内にある三方原古戦場の石碑

東京駅からおよそ2時間、静岡県浜松市内にある「三方原」は、徳川家康と武田信玄が烈戦を繰り広げた「三方ヶ原の戦い」の地としても知られています。
織田信長打倒のために立ち上がった武田軍に徳川・織田連合軍は大敗を喫し、その激しさは三河一向一揆や伊賀越えと並ぶ「家康三大危機」として挙げられるほど。浜松市「三方原墓園」の一角には、三方原古戦場の石碑が建立されています。

静岡県の最西部に位置する浜松市は、全国トップクラスの日照時間に恵まれた土地。温暖な気候を生かし、新玉ねぎやセロリを始め、大根やトマト、みかんなど多彩な農作物を栽培しています。

全国トップクラスの日照時間を誇る浜松市

中でも有名なのが、浜松市の三方原台地で穫れるブランド芋「三方原馬鈴薯」。秋に旬を迎える北海道産よりも一足早い5月から7月にかけて収穫・出荷されます。
ホクホクした食感が楽しめる「男爵」と、なめらかで煮くずれしにくい「メークイン」という2つの品種を栽培しており、生産量はおよそ9対1のバランス。

特に男爵は全国に先駆けて市場に並ぶため、「男爵の新物は三方原から」と言われているそう。白く美しい表皮や、でんぷんを多く含んだ濃厚で力強い風味などが高く評価されている高級な新じゃがいもです。

高級ブランドじゃがいも 三方原馬鈴薯(みかたはらばれいしょ)
高級ブランドじゃがいも 三方原馬鈴薯(みかたはらばれいしょ)

どうしてこんなに色が白いの?他のじゃがいもとどう違うの?など、気になる疑問が色々!今回は同市中央区大山町の酒井農園さんにお邪魔しました。

「三方原馬鈴薯」とは?畑を見学してみよう

静岡県浜松市の酒井農園さんのじゃがいも畑

大正時代初期から三方原台地を中心に栽培されている「三方原馬鈴薯」。浜松市の農業協同組合「JAとぴあ浜松」によると、管内で三方原馬鈴薯を育てる生産者さんは約130名。毎年4500トン前後を収穫し、東京・大阪・名古屋などの市場に出荷されます。
酒井農園さんでは約5ヘクタールの規模で三方原馬鈴薯を栽培し、毎年およそ200トンを収穫しています。

馬鈴薯収穫の様子

5月中旬、収穫期を迎えた畑では、10名ほどのスタッフさんが作業を進めていました。鍬やトラクターで丁寧に堀り起こしたじゃがいもは、土を落とし、サイズや形、キズや傷みの有無などを見極めながら緑色のコンテナに詰めていきます。
掘り起こす土の深さによってはじゃがいもが傷ついたり、土の中に深く潜ったりしてしまうそう。その日の畑の湿り具合などさまざまな条件を鑑みながら、ミリ単位で掘り方を調整しているといいます。

三方原台地特有の赤土で育った三方原馬鈴薯

堀ったばかりの三方原馬鈴薯は、すでに洗ったような白さ!じゃがいもの「男爵」と聞いてイメージする色合いとは全く違います。これには三方原台地特有の赤土が関係しているそう。

三方原の馬鈴薯は白くきめ細かなじゃがいも

北側に南アルプスの赤石岳があり、東側に天竜川が流れる浜松市。三方原台地は赤石岳の土が天竜川に乗って運ばれ、長年かけて積もり隆起した土地なのだそう。
粘土質のやせた酸性土壌で、開墾当時は栽培できる作物が限られていましたが、弱酸性を好むじゃがいもとの相性は良好。㏗を調整し、水はけの良い土質へと少しずつ改良を進めていき、現在のような白くきめ細かな肌を持つ三方原馬鈴薯が生産できるようになりました。

三方原のじゃがいもは生産者が丁寧に収穫

皮が薄く、傷つきやすいので、コンテナに入れる際にも細心の注意を払います。「じゃがいもというより、卵を扱うような気持ちで作業をしています」と生産者の酒井さん。
収穫したじゃがいもは土を乾かして落としやすくするため、自宅脇にある作業所で3日間寝かせます。風通しの良さを考慮し、コンテナには8割ほどを収納。それでも20㎏前後あるため、運び出しにも労力を使います。

高品質なじゃがいもを常にベストな状態で収穫できるよう工夫

三方原馬鈴薯は植え付けから収穫まで約4か月を要します。12月に肥料などを加えて耕すなど土づくりを開始し、翌年1月3日には植え付けを始めるそう。

花が咲いた後、茎が枯れてきたら収穫のタイミング。あらかじめでんぷん含有量の検査を実施し、基準をクリアした畑から収穫を始めます。

こだわりの詰まった三方原馬鈴薯(ばれいしょ)

旬が短いため、常にベストな状態で収穫できるよう、トンネルやマルチと呼ばれるビニールで覆い、掘り取りのタイミングをずらしているのが特徴です。早々に出荷する分は、光を良く吸収し、冬でも土が温まりやすい透明マルチで覆います。

三方原のじゃがいも畑

こちらも酒井さんの三方原馬鈴薯の畑。先ほどの畑とは異なり、青々とした葉が茂り、薄紫色の花が咲いています。6月頃に出荷予定の分なので、地面には保温効果や雑草の生育抑制効果がある黒マルチが使われていました。

じゃがいもの花

就農歴30年以上の酒井さんでも、今期の栽培は難しかったといいます。「2月は気温が上がり生育が進みましたが、3月には霜が降りるほどの寒さでじゃがいもの細胞内が凍結し、畑の2/3程が被害を受けました。今年の出来は例年に比べてやや小ぶりですが、味には自信がありますよ!」と話します。

一つ200gを超える立派なじゃがいも

やや小ぶりと言っても、酒井さんの畑ではひとつ200グラムを超える立派なじゃがいもがゴロゴロ!三方原馬鈴薯は同じ場所で連続して育てるには適さないため、酒井農園では収穫が終わると青首大根の栽培に移り変わります。

三方原馬鈴薯のおいしさを支える「選果場」

JAとぴあ浜松馬鈴薯選果場

続いてやってきたのが、JAとぴあ浜松が管轄する「馬鈴薯選果場」。管内で収穫された三方原馬鈴薯はこちらに集められ、さらに徹底した選別が行われます。

じゃがいもの選定の様子

内部センサーで自動選択され、大きさごとに分かれて流れて来るじゃがいも。毎日およそ70トンが運ばれるそう。各農家さんでも出荷時に選り分けがされていますが、選果場でもさらに一次選果~二次選果と段階を経て、多くのスタッフが品質を見極めていきます。

さらにこちらの選果場では中身が空洞になっているじゃがいもなど、内部障害を選別するセンサーも導入されており、高品質と称される三方原馬鈴薯の出荷を支えています。

じゃがいもの選定後段ボールに入れて出荷を行う

選果が終わったじゃがいもはサイズごとに段ボールに入れられ、各市場へと出荷されていきます。JAとぴあ浜松の三方原馬鈴薯の箱は、「みかジャガくん」という名のキャラクターが目印。店頭で三方原馬鈴薯を見つけた際は、ぜひチェックしてみてくださいね。

三方原馬鈴薯をは甘く濃厚な味わい

2024年で販売6年目を迎える湖池屋の「三方原ポテトチップス」。三方原馬鈴薯の男爵のみを使い、甘く濃厚な味わいが楽しめるポテトチップスに仕上げています。本来、男爵はでんぷん量が多い分揚げると焦げやすいため、ポテトチップスにするのはとても難しい品種。湖池屋のこれまでのノウハウを詰め込んだ自信作です!

今年も三方原ポテトチップスを6月20日より発売予定。三方原馬鈴薯ならではのおいしさを堪能できる、年に一度の機会です。お楽しみに!

取材・文/田窪 綾 撮影/山下コウ太

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ライター 田窪綾

ライター

田窪綾

調理師免許を持つフリーライター。惣菜店やレストランで8年ほど勤務経験あり。食分野を中心に、Webや雑誌で新商品取材やインタビュー記事作成、レシピ提案などを行っています。